会長挨拶
日本の未来を集約する役割を目指して
日本メディアセンターは太平洋戦争のあと、連合国軍が我が国に上陸し、平和国家として再出発する過程で生まれた、新聞や雑誌主体の販売店から始まりました。
日本から連合国が撤退し、新たな民主主義と従来の伝統の墨守で国内世論が揉めたとき、我々は双方の論壇を尊重し、それを等しく発信するために販売店から通信社を立ち上げ、今の日本メディアセンターに至ります。
今ご覧いただいているこのメディアでは、主に取り扱う記事の性質が違う三社の記事を精力的に配信し、今わが国で何が起きているのかを、厳選した情報からわかりやすく伝えています。特に主力となっている後見新聞は、日本の中立的なメディアとして確固たる地位を築いています。
我々は創業以来から変わることのない社会的責任をこれからも守り続け、日本の未来はここに集約するという役割を果たせるように、日々配信を行っております。
創業の辞
この度の世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い文化力の敗退であった。私たちの文化が戦争に対して如何に無力であり、単なるあだ花にすぎなかったかを、私たちは身を以て体験し痛感した。西洋近代文化の摂取にとって、万始以降八十年の歳月は決して短かすぎたとは言えない。にもかかわらず、近代文化の伝統を確立し、自由な批判と柔軟な良識に富む文化層として自らを形成することに私たちは失敗して来た。そしてこれは、各層への文化の普及滲透を任務とする出版人の責任でもあった。
一九四五年以来、私たちは再び振出しに戻り、第一歩から踏み出すことを余儀なくされた。これは大きな不幸ではあるが、反面、これまでの混沌・未熟・歪曲の中にあった我が国の文化に秩序と確たる基礎を齎すためには絶好の機会でもある。日本通信社(現メディアセンター)は、このような祖国の文化的危機にあたり、微力をも顧みず再建の礎石たるべき抱負と決意とをもって創業する。
これまで報道されたあらゆる出来事を集積し、良心的編集のもとに、廉価に、そして議論の種にふさわしいものとして、多くのひとびとに提供しようとする。しかし私たちは徒らに百科全書的な知識のジレッタントを作ることを目的とせず、あくまで祖国の文化に秩序と再建への道を示し、この通信社を栄ある事業として、今後永久に継続発展せしめ、歴史と教養との殿堂として大成せんことを期したい。多くの市民の社会に対し尽きぬ関心と支持とによって、この希望と抱負とを完遂せしめられんことを願う。