写真:自身の見解を語る米良智司科技相(改進党)、3日の記者会見にて=江戸府 昨週ごろから、次期国会の公職選挙法改正にむけ、政府与党内で法案の具体化が進んでおり、なかでも郵便投票の制度拡充に関する議論が注目を集めている。
若年世代の生活スタイルに合う投票手段を設け、投票率向上をねらった改革と思われる。
議論の焦点は、大学生を中心に、進学のために地元を離れた若年層に多く見られる「住民票を移さない」ケースへの対応だ。
内務省が2020年にまとめたデータによると、全国に住む満18歳~満22歳の有権者のうち、「投票できなかった場合の理由」で挙げられた項目について「今住んでいる自治体で投票することができなかったから」を選んだ人の割合は、最上位の21.7%に上っている。
若年層の投票率低下が問題となるなかでのこうした障壁について、現行法規では選挙管理委員会ごとに不在者投票制度で対応しているものの、複雑な手続きにより浸透が進んでいないとの指摘や、管理作業の負担も懸念される。
そうした背景から、与党両院会派の合同政委は解決策として「郵便投票」の議論に本腰を入れ、次期国会での法案成立を目指しているとみられる。
四党連合会派の北山征馬政策委員長は1日、メディアの取材に対し、
「社会のニーズをより政治に反映していくには、利便性やアクセス性を高めて投票率を上げる施策が必要。郵便投票はその手段として検討されるものの一つ。」と答えた。
また、連立内では、改進党を中心にNADsカード(国民データベース携帯証明書)を活用した「デジタル投票制度」の導入をすべきという論調もある。
政界きっての「デジタル推進派」として知られる米良智司科技相は昨日の記者会見で、
「利便性を高めていく議論は、どのようにしてリスクを低下させていくかが重要。
とくに民主制の根幹である投票原則と、投票者の安心は大前提として担保されなければいけない。」と断りつつも、
「デジタル投票でのプライバシー、信頼性といったリスクについては、選管直通のプラットフォーム構築、投票日まで投票先を編集可能にするといったことや、カードを用いた民間活用の本人確認方法など、様々な工夫が提案されいる。
政府与党の知恵を絞り、慎重かつ広範な、フラットな視点で結論を出せるよう尽力したい。」
と宰相記者会見で述べ、デジタル化の前進に意欲を示した。
一方で、こうした改革議論に一部では反発する意見が上がっている。
とある民政党幹部は、
「政治への関心の低さなどが指摘されているのに、利便性を高めたとしても投票など期待できないのではないか。まず第一に、投票率を高めれば政治が良くなるというわけではない」
「白票も棄権も大事な意思表示だろう。一番信頼できるのは、投票所に行って投票することに決まっている」
と語るなど、党内には反発する意見もあり、一連の改革案が具体的な法案としてまとまるかは未だ不透明だ。
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