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[日本徒然紀行]冷涼のやませに抱かれて②

 博物館と根城の広大な敷地を散策するとすっかり空腹状態に。華谷さんの案内で八戸市が力を入れている海鮮市場"八食センター"へ向かった。


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 八食センターとは、八戸や盛岡県の地場産の海鮮や加工食品などを多く扱う常設の市場。以前より八戸には日曜の朝市などは大規模なものがあったが、観光客の新たな獲得と地場産消費の活性化を狙って、年中無休の常設市として整備されたという。

そして何といっても人気になのは市場内にある七輪村と呼ばれる施設。ここでは市場で買った魚介類などをその場で焼いて食べることが出来るとして観光客から評判。


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店頭で受付をして、いざ市場へ。まるで市場そのものが巨大なバイキング会場になってしまったかのような感覚を覚えつつ、この時期が旬の牡蠣や、奥羽地方のブランド牛である倉石牛の焼肉など雑多に購入。


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テーブルに戻ると華谷さんが既に大きなイカを焼いて待っていた。「八戸といえばイカなんですよ。あとイカが焼きあがるまでこちらをどうぞ」と渡されたのは、八戸酒造が造る日本酒"八仙"とごく一部でしか食べることのできない水タコの白子。タコの白子は海北州や南部県のごく一部でしか食べられない、知る人ぞ知る珍味で、臭みのないクリーミーな味わい。やはりこういうものには辛口の八仙がとてもよく合う。早速八戸の食の洗礼を受けていると、イカがちょうど焼きあがる。「ゲソの部分を少しカリッとするくらいまで焼くのがちょうどいい」と話しつつ切り分けていく。


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香ばしい香りの中に甘味も感じるイカを食べ進めていると、今度は小さいカニを豪快に割り始めた。なるほど、これがタクシーの仲村さんの言っていたヒラカニというものかと理解し、華谷さんから受け取る。「夏はヒラカニが旬です。メスは内子があってとても美味しいし、オスの方はカニ味噌がメスよりも濃厚で、どちらも地元では人気ですよ」。


 これから役所の別用があるという華谷さんとはセンターで別れ、タクシーを拾い海岸沿いへ向かう。「お客さん今日はいい時に来たねえ、朝霧かかってたから」と語るのは運転手の広中さん。なんでも朝海に霧がかかっている日は、その日1日好天に恵まれるという。


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 広中さんと今日の昼ごろまでの行程について話しているうちに、最初の目的地である蕪島神社へ到着。手元にあるパンフレットによれば、蕪島の"かぶ"が"株"に通じることから投資家がこぞって訪れるのだとか。株と神頼み、なんともミスマッチな需要を獲得した神社だ。


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 広中さんがタクシーのメーターを止めといてくれるというので、好意に甘えつつ参拝。階段を登り切ると、愛嬌あるウミネコが彫られた手水舎が出迎えてくれる。


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 神社の周囲はぐるっと回ることができて、島の頂上から海や街を見ることができる。海側に出てみると、すぐ近くのとても小さい小島に沢山のウミネコが。横をカヌーだろうか、マリンスポーツを楽しむ観光客が通り過ぎても動じる様子は一切なく、みな日光浴を満喫しているようだ。一周して神社に戻ると、鳥居を額縁に漁港と市街地の絵画が私を出迎えてくれた。


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