航空大手の敷島エアシステムは1日、冬季の航空ダイヤを公表し、今年度から「試験的に」実施している地方路線の減便方針が維持されることが明らかになった。これを受け、2日の大江戸株式市場ではSAS株式が一時大幅に下落した。
SASの八木社長は2日行われた会見で減便方針の維持について「単期では減便政策で経営体力回復にどのような効果があるかは判断できない」とし「各空港の発着枠は依然として維持しており、我々は地方と都市部をつなぐ翼として、これからもコミットしていく」との姿勢を示した。
一方で、SASの労働組合である「敷島ユニオン」の大亀俊樹中央執行委員長は機関紙で「SAS経営陣による"減便方針"に一心団結して立ち向かい、事実上の減給を打破しよう」との声明を発表。会社経営をめぐる意思統一が疎かになっている現状が垣間見えた形だ。
航空事情に詳しい北越学院大学の犬山あかり准教授は「SASの累計赤字については以前から指摘されているが、減便方針の長期化・労組対立の露呈は、株主から"危険材料"と判断され、自らの首を絞めかねない」と指摘する。また「SAS株が買われている理由は"行政からの支援が見込まれやすい地方路線を運行している"ことに他ならず、その地方行政から見捨てられかねない"減便方針"は、一時的に赤字縮小に寄与するだろうが、将来的に大きなリスクとなり得る」と警鐘を鳴らした。
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