『僕とジジイの物語』、異色のキャストと主題歌が織りなす新感覚の文学アニメに期待
- くま ぼん
- 9月18日
- 読了時間: 2分
2025年秋、今期はアニメ界に新たな旋風を巻き起こすであろう異色作が放送される。オリジナル脚本アニメ『僕とジジイの物語』だ。内向的な青年「僕」と、魔術的な言葉を操る謎の老人「ジジイ」の奇妙な旅を描く本作は、マジックリアリズムやポストモダン文学といった文学的要素を大胆に取り入れた、新感覚の冒険譚である。
物語の主人公は、自意識過剰で自他境界が曖昧な引きこもり青年「僕」。彼の前に突如現れたのは、真実と嘘の境界線を持たない「ジジイ」だ。彼は僕を強引に旅へと誘い、二人の旅は日本から華国の山奥、連合諸州、バーラト。そして遠く離れたイランへと続いていく。しかし、この旅の目的はただの冒険ではない。一話ごとに一見ハッピーエンドを迎えるように見えて、物語全体は悲劇へと向かうという、驚くべき構成がとられている(そしてこのことは挑戦的にも、空想太郎監督自身によって既に予告されている!)。
この難解で奥深い世界観を体現するキャスティングにも注目が集まる。「僕」役には、若手ながらも確かな演技力と独特な存在感でファンを魅了する人気声優、天音なすびが抜擢された。彼の繊細で内省的な声の演技が、主人公の複雑な内面をどのように表現するのか期待が高まる。一方、「ジジイ」という予測不可能なキャラクターを演じるのは、シュール系漫才師でありながら、また名優として名高い山田大爆発。声優としては珍しい起用だが、彼の持つ圧倒的な存在感と、ユーモラスかつ狂気を秘めた声が、物語の鍵を握るジジイに命を吹き込むだろう。さらに、物語の初期に登場する重要人物「シンシア」役には、不思議ちゃんでありカエルボイスと巷で定評のあるSonoちゃんが名を連ねている。
そして、本作の世界観を彩る主題歌もまた、異色なアーティストが担当する。オープニングを飾るのは、女性3人組ガールズバンド新宿モラトリアムの「夏がおわると、全部消えちゃうんだね」。疾走感あふれるロックサウンドと、儚くも美しい歌詞は、旅の始まりと終焉を予感させる。また、エンディングテーマは、ラッパーの冷奴 aka.江戸前ゲットーが手掛ける「呪言」。重厚なビートに紡がれる言葉は、ジジイの呪術的な言葉の持つ意味、そして物語全体を貫く不穏な空気を表現し、視聴者に深い余韻を残すであろう。
『僕とジジイの物語』は、文学とアニメーション、そして音楽が融合した、これまでにない体験を視聴者にもたらす作品となりそうだ。今期の放送開始が今から待ち遠しい。


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