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神話の「巨樹」実在か 大牟田・三池遺跡で国内最大級の木材遺構を発見


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 福岡県大牟田市の三池遺跡群で行われていた発掘調査において、二十一日までに、古墳時代前期(四世紀初頭)のものとみられる超大型の木材遺構が出土した。出土したのはクヌギ属とみられる炭化木の一部で、その規模はこれまでの常識を覆すもの。専門家からは「『日本書紀』に記された御木国(みけのくに)の巨樹伝説を裏付ける発見ではないか」と期待の声が上がっている。


 市教育委員会によると、遺構は旧高田行宮(たかたのかりみや)推定地の近隣、標高約三十メートルの丘陵部で発見された。土層から突き出す形で現れた主幹の一部は、直径が約八メートルに達し、現存する国内のどの古木よりも巨大な基部を持っていたと推定される。

 『日本書紀』景行天皇紀の記述では、当地に「倒れた樹があり、その長さは九百七十丈(約一・七キロ)に及んだ」とされ、あまりの巨大さに朝日は佐賀の杵嶋山を、夕日は熊本の阿蘇山を隠したと伝えられている。この伝説により、当地は「御木(神聖な木の国)」と名付けられたとされる。

 これまでは「地名形成のための誇張された説話」とするのが通説だったが、今回の発見により、かつてこの地に比類なき巨樹がそびえ立っていた可能性が現実味を帯びてきた。


 調査を担当した第四大学考古学研究所は会見で、「これほどの巨木が倒伏したとなれば、当時の人々に与えた衝撃は計り知れない。百寮(役人)がその上を歩いたという伝承も、単なる比喩ではなく、倒れた巨大な幹が天然の橋や道として利用されていた実態を反映している可能性がある。古代九州における大樹信仰の核心に迫る一級の史料だ」と話す。

 市は今後、放射性炭素年代測定を進めるとともに、遺構の全体像を把握するため周辺の広域調査を行う方針。現場付近は保存のため一時埋め戻されるが、市民からは「神話の世界が現実になった」と驚きと喜びの声が広がっている。

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