新渡戸執政は9日、公議院で行われた年頭演説で、金融緩和策の再考と税制改革、福祉政策の強化を訴え、「経世済民」を訴える現政権の方針を改めて説明した。
現山野辺連立政権の共通認識である、トリクルダウンに対して否定的な見解を改めて強調したうえで、資本の流動性にばかり着目してきた前政権の方針を批判。疲弊した日本経済を立て直すには、生産性向上を促す施策・将来を見据えた基礎の再構築が真に必要だと主張した。
まず、演説の冒頭で執政は、前任の保科執政の任期以来、総銀と政権の二人三脚で進めてきた金融緩和策について具体的な効果に疑問を呈した。
「経済政策は需給調整に力点を置くべきであって、現状のような株価対策一辺倒の政策は徐々に転換すべきものと考えている。いまは、経済を強靭にするための抜本的な政策立案が求められる時期にある。」
とし、政策の転換は避けられない見解を示した。前政権の方針を批判する背景には、保科政権下で任命された川島良樹総銀総裁の任期がことし8月に満了することが念頭にあるとみられる。執政は、「金融緩和の是正もタブー視せず議論すべき」と踏み込んだが、「それに伴う貸しはがし等の必然的なリスクに対する対応策もセットで推進していく」と付け加えた。
また、執政は続けて「地方のサプライチェーンが再生の鍵」として、原発再稼働や税制改革について「待ったなし」と語った。執政は税制について「法人税の逆進性」を特に指摘。最低賃金が地域産業の負担能力を加味して決定されるのに対し、法人税の税率は地域を問わず一律であり、執政はこうした状況について「企業に対する人頭税だ」と批判。最低賃金と連動し税率を軽減する新税制に向けて議論を加速するとした。加えて、金融所得課税やデジタル課税なども言及し、公正な負担に向け理解を促す場面もあった。
原発再稼働については保科前政権が民政党の新渡戸氏を首相に起用して「原発連立」を形成したことは記憶に新しいが、当時は最終的に野党の反対によって阻まれたように、難しい問題として先送りにされ続けてきた。原発再稼働問題は現山野辺連立政権内でも意見が異なり、改進党や社会党は再稼働賛成派と反対派の分断が激しく、扱いを間違えれば政権が倒れる懸念もある。執政は「熟議を重ね合意形成を必ず図っていく」と丁寧な姿勢を強調したが、今国会は原発問題を軸に与野党を巻き込んだ政局となることは避けがたいとみられる。
続けて、執政は「テクノロジー立国」「人材育成」を今後の重要な成長戦略と位置づけた。奨学金制度の改正やリスキリング支援、大学制度改革に意欲的に取り組んでいくと語り、特に奨学金制度は「将来を担う世代の意欲を削ぐ、悪しき制度」と強く批判、学生の負担は現役世代が担うべきだとした。執政はキャリアアップを「諦めさせない」「徹底的に拾い上げ、可能性を広げる」制度作りが必要だとした。また、教育や行政においてテクノロジーを積極的に導入し、「『めんどくさい』を退治する」取り組みが質と効率を向上させると主張した。新渡戸政権は、政府としてこれらの成長戦略に向けた統合的な政策立案を行うため、こども政策やデジタル行政を担当する専門省庁の設置を今年中に行うことを約束。
最後に、「今は試される時期にある。今苦しい人たちを救いつつも、将来の可能性を切り開き、新たな苦しみが産まれないようにしていかなければならない。私は政権を担うものとして、国にとって本当に必要な政策とは何かを見極める責任がある。伸び悩むこの国に必要なのは、規制緩和のようなキャッチーな政策ではなく、地味な基礎固め。今のためだけでなく、将来に対しても責任を持つ政府として、泥臭く前進する1年にしていきたい。」と抱負を述べて演説を締めくくった。
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