新渡戸=山野辺体制が「絶体絶命の大ピンチ」(与党長老)を迎えている。「衛務省ゲート」による前代未聞の大スキャンダルと、頓挫した幻の「日錦高位級会談」で内閣支持率下落が“底なし沼”になったからだ。
これに連動したような岡村元弘税調会長の「決起」を始めとする民政党内の反主流派の胎動で「政権崩壊への“パンドラの箱”が開いた状況」(同)に。これを受け、週刊誌など多くのメディアが「山野辺下ろしのクーデター」や「レームダック化する新渡戸政権」と書き立てるなど、千代田はまさに「政権崩壊前夜」の様相となりつつある。
◾︎岡村派"一揆遊説"で瑞穂接近も
与党関係者はここ最近、岡村議員のとある言動に気が気でないと話す。「岡村は奥羽や北州など、瑞穂の党が強い地域で講演会を開いては"お公家様に対する一揆"をフレーズに心を掴んでいる。新渡戸さんも強く警戒している」(新渡戸派中堅議員)。
従来、新渡戸派の"聖域"とされた奥羽地方における岡村派の"一揆遊説"は、実際に効果が出ていると苦言を漏らす関係者も。「地元での会合に出たりすると、新渡戸さんを"お殿様"や"お公家様"と言ったりする有権者の声を聞く。執政就任以降、確かに地元への帰省は減っていたが、思った以上に彼らはそれに距離感を見出してしまっていたんじゃないか。その隙をつかれた」(地元の与党議員)。
また、連立関係にある"瑞穂の党"の関係者からは「正直言って岡村さんの方がウケがいいよ。新渡戸さんは外交とか経済とか、そういう大きい問題をやるけど、岡村さんは農政と交通インフラに目を向けてくれている。そういう人の方がみんな支持しやすいからね」と"岡村推し"の声が聞かれる。
新渡戸氏のお膝元の地域政党として彼の"名代"を司っている瑞穂の党の岡村派への接近は、政権末期につながる危険信号だ。
◾︎封じられた"切り札"得意の外交カードは無効に
新渡戸政権1番のピンチは外交カードが使えなくなったことだろう。華国は先月、日本が北韓政府高官との高位級会談で合意していたことを突如明らかにした。この件について楢山無任所宰相は「現時点で把握している情報はない」として、この事実を黙殺。また今週の公議院外交委員会で新渡戸氏は「華国側が報じた高位級会談に関する情報を把握していない。我々は拉致問題の解決に向けてあらゆる方面から北韓と接触する」と幕引きを図った。
これらについて長征の日本大使館関係者は「高位級会談をやるなら華国に仲介を頼むのは自然。本当は会談直前まで隠し通したかったが、華国側の声明によって全てご破算になったのではないか」と分析。
与党関係者は「日錦高位級会談さえやれば、政権浮揚効果はとても大きかっただろうに。華国に公開されたのは対華国外交を疎かにしていたからじゃないか、もう"外交の新渡戸"はおしまいだね」とため息をついた。
そして何より"日錦会談"カードが封じられたことにより、政権はまともな"政権浮揚カード"を失ったことになった。「CASEA会合や日韓のシャトル外交とかはあるけど、それじゃあインパクトにはね…。もうあんな大スキャンダルも出たしそれを覆い隠す様な政権浮揚策はもうないよ」(与党長老)と諦めムードだ。
◾︎支持の低迷なんのその、新渡戸氏連日の"ホテル住まい"
しかし台風の目である新渡戸氏は国民の支持など気にしていないのかもしれない。政権関係者によると、このところ新渡戸氏は毎週末私邸ではなく府内の高級ホテルに泊まる生活をしているという。
「家に帰ったところでメディアに付け回されるのがオチ。そりゃあなんでも揃ってるホテルに滞在した方がいいのはわかるけどね」(与党関係者)
ホテル住まいで国民への説明から逃げ続ける新渡戸氏、今国会の争点もその多くは山野辺宰相に任せきりな状況が続いている中、どこまで逃げ仰るつもりなのだろうか。
◾︎野党もアキレス腱に課題、ヤケクソ"年末解散"で延命か?
しかし強いていうなら現政権にとって幸いなことは野党の支持率も低迷していることだろう。野党の代表格、社会党の関係者は「いくら与党連合の支持率が低くても、我が党としては今選挙されても勝てない。支持母体は確実に離反するだろう」と厳しい見方を示す。
社会党が持つ最大の支持母体である民労は、今年5月のゼネストで結局与党側により幕引きが図られた結果「社会党は頼りない。我々は支持する相手を間違えた」(民労関係者)と社会党に"見切り"を付ける動きも起きている。
このままいけば山野辺宰相による年末解散、議席を減らしつつもなんとか勝利して政権の延命を図る可能性が高い。しかし国民を顧みない選挙の先にあるのは岡村派による"一揆"かもしれない。
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