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[特集]与野党三つ巴、湘南市市長選が占う"民院解散"

「明るい湘南、新しい湘南を担える人材は彼女だけです」。谷屋裕子湘南市市長の任期満了に伴う市長選の投票日を23日に控えた週末、湘南駅前のロータリーには大勢の聴衆が集っていた。目当ては現職4選を狙う谷屋市長の応援に駆けつけた新渡戸執政である。


今回の選挙選は、与党系の民政・改進・瑞穂・友愛推薦の現職谷屋裕子、民進・光明推薦の新人越智氏、社会・労農推薦の相澤氏の3候補が鎬を削る三つ巴の様相を呈している。


総人口100万、運輸・重工業を背景に有数の経済規模を誇る湘南市の市長選の争点は「市域の区制導入」だ。

区制の導入は04年に当時の平塚市・藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町・大磯町・二宮町が合併し、新市制を施行してから度々議論されてきていた。


谷屋市長は先月の出馬表明の会見で、今回の選挙の争点は「区制導入」になると強調。「湘南市施行から20年の節目に、この区制問題に区切りをつけ、湘南市としてのまとまりを強化したい」と区制導入に前向きな姿勢を見せた。

一方の民進系候補である越智氏は「安易な区制導入が招く混乱が検証されていない。まとまりは生まれず、分断が強化される」と真っ向から否定した。

その中異例の姿勢を見せたのが社会系候補の相澤氏。氏は区制について「区制導入については慎重に検討していくべきだ」としつつも「非常に重要な試みではある。我々も一概これを否定することはできない」と与党側への歩み寄りを見せた。

これについて地元有権者は「労組抱えてるなら区制導入の方がいいだろうね、あれで困るのは東湘地域だろう」と話す。


地域事情について、玉縄大学の今井教授は「工業の西湘・運輸の東湘と湘南市は相模川を挟んで地域対立がある。その上で事実上の政庁所在地が旧平塚市側にあり、湘南市施行後は平塚が発展の中心になりつつある中で、区制導入により旧市制の地域割が解消されたら、東湘の発展に不利益を及ぼす可能性があるのではないか」も指摘する。


一方で与党側からは「社会党と票の取り合いになるのは困る。当選できるかどうか…」(市長陣営関係者)と不安の声も上がる。永らく民政・社会の一騎討ち構造が続いていた湘南市長選挙にとって、今回の"地殻変動"に与党側は対応に苦慮している。

ある与党幹部は「三つ巴で万が一のことがあれば我々も危うい。政令市の選挙ごときに執政まで、と思われるかも知れないが、これは国政問題だ」と話す。

かねてより民議院の解散についてたびたび取り沙汰されるなかで、今回の湘南市長選挙は「国政選挙日程に少なくない影響を与える」と見る関係者も多い。


別の与党関係者は「党内では"いい加減青写真を引いたらどうだ"という意見もある。湘南市の投票行動はその後の国政選挙結果に似たものもあり、これ次第で解散日程が決定する可能性もある」とし「市長選後に何らかの"サプライズ"でも起きれば僥倖。そうしたらすぐにでも解散総選挙出来るよう山野辺さんも待機しているらしいしね」と話している。


国政を見据えた市長選の結末に、多くの政党関係者からの注目が集まる中、域内人口100万の市はどのような選択をするのだろうか。

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