「今行かなくていつ行くんだ」。山野辺主席宰相がテノチティトランに赴いたその日、大江戸の官邸で新渡戸執政は外務省官僚らを相手にそう話したと関係者は話す。
「執政は山積する課題の多くは米国との連携が必要だと官僚に説いた。そして東南アジアを歴訪中の外務宰相にも電話をしていた」
元々メキシコ伎冠に合わせてアメリカ政府の関係者と接する計画自体はあったと関係者は話す。
「しかし執政は"時間の余裕がそこまである問題は少ない。やはり大統領とお会いしなければならない"と話していた」
外務省筋によると、訪米が決まったのは22日、開会式の当日だという。
「今すぐ山野辺さんに繋いでくれ。これからアメリカに赴いて貰うと伝える」と関係者に伝え、山野辺宰相と訪米日程について調整を行なった。また調整に並行して、日本からアメリカに発つ鴻上防衛宰相を介して米アルフォード大統領に渡す親書も用意した。
こうして行われた会談では、華国による軍事的伸長などについて、日米間が改めて名指しで懸念を示すと共に、環太平洋に及ぶ広域な地域安全保障体制について、事実上日本がある程度主導し、日米が歩調を合わせる形で新たな枠組みを構成することが決まった。
山野辺宰相の帰国後、新渡戸執政は会見で「今回の日米による高位級会談は、両国が喫緊の問題に対し迅速に対応できることを示すと共に、新たな地域安全保障体制の構築こそが、我が国が歩むべき道であるということを明白にした」と強調した。
またその上で「私自身も早期にアメリカに赴いてアルフォード大統領と直接お話ししなければならないし、韓国の高大統領など、東アジアで同じ価値観を有する友邦とも会談し、枠組みの具体化に向けた動きを加速させていきたい」と改めて決意を表明した。
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