南部県の田鎖丈知事は15日の記者会見で、これまで取り組んできた重点政策について、より将来世代に向けた施策を強化する方針を示した。
内務省出身の田鎖県知事は、2011年の震災で壊滅した県経済の復興を掲げ、大々的な公共事業政策を提唱し、震災間もない11年に現職を破って初当選した。当時の鳳執政が「コンクリートから人へ」と訴えたのに対して「生活はコンクリートから」と真っ向から反対したことは、当時大きな反響を生んだ。
当選以来11年間にわたり県経済の立て直しに奔走してきた田鎖知事は、2021年の執政選では友人であり同県ゆかりの候補の新渡戸氏を熱烈に支援し、同氏の当選に寄与したことでも知られる。
その新渡戸氏は現在「経世済民政策」として、「ホシノミクス」と呼ばれた前政権下での金融緩和路線の修正、イノベーションや人的資源への重点投資を主張している。
田鎖知事はこうした政治情勢を受けて、政策の転換を示唆。「政策は常に総合的であるべきで、ちぐはぐな経済政策が一番良くない」「インフラ再建に一定のめどが立ったことも加味すれば、経済を次の段階へ進めていく頃合いであり、政府の訴える『人への投資』を加速することで、中央からの支援も得られる」とし、県の重点政策をインフラから人材育成や起業支援へと転換していく方針を示した。
一方で、「県外からの転入者や、県内でのビジネスを考える資本にとって、災害のリスクは最小限にしなければ完全な復興はできない」とし、防波堤の建設といった災害対策について貫徹の必要性を語った。
また、新渡戸執政が原発再稼働に意欲を示していることを受け、同知事は東通原発の再稼働および大間原発の建設再開について早急に実現するため、県民の理解を得られるよう説明や対話に注力するとした。
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