日本の秋の風物詩として知られるサンマ漁。7~8年前まで、お盆を過ぎた頃には、大型のサンマ漁船が出漁し、遠い沖合で集魚灯を駆使して大量に漁獲。9月に入ると続々と帰港し、魚市場はサンマであふれかえった。 しかしここ数年ほど、サンマの価格は高騰し続け、以前のような庶民の魚の面影はない。
海北州釧路市の漁港では7月中旬にサンマの水揚げが始まり、空輸で大江戸築地市場に運ばれた初サンマの値段は1キロ当たり12万円、1匹あたり1万2000円で取引された。もはや庶民の魚と呼べない値段だ。築地市場に来ていた府内のスーパーのバイヤーからは「食欲の秋に、何度か特売をやって鮮魚の売り上げを伸ばしていくのがかつてのパターンだったが、今では売り込む余地がないほど不漁続き。まったくあてにならなくなってしまった」と肩を落とした。
高騰の原因にあるのはサンマの記録的不漁だ。農林水産省によると、2000年代には20万トン台の漁獲量があったサンマは、昨年には2万トンを切る勢いになっている。また研究機関の予報では、サンマの来遊量は「昨年を上回るが依然として低水準」とされ、底は脱したかもしれないが、豊漁を期待できるレベルではまったくないことが示唆された。
不漁の影響は飲食業界にも影を落としている。府内の居酒屋チェーン「うまいもんや居酒屋大将亭」では、昨年から秋に行っていたサンマフェアを取りやめているという。新宿店の店長は「サンマはもはや高級魚。新鮮さが求められる刺身などはフェアでよく売れていたが、今では刺身を用意するコストが高すぎてメニューからも消してしまった」と嘆く。「カボスを添え、丸々太ってこんがり焼きあがった秋の味覚を堪能できるのは、いつになるか」と落胆した。
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